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第158話 最終話

「そうじゃないかと、思ってた」 「まじで」 「言ったろう。君は考えてることが、顔に出るんだって」 「ホントに? 俺のほうは、高梨さんが考えてることちっともわかんなくて、グルグル悩んでたのに」 「そんな君も可愛かった」 「うぇ。マジ性格悪」  顔をしかめた陽斗のひたいに、高梨が楽しそうにキスをする。  「君が僕のもとにきてくれてよかった。おかげで毎日がどれほど充実したものになったか。家に帰るのがどれだけ楽しみになったか」  言われて、陽斗は彼の殺風景な寝室を思い出した。まるでこの人の孤独をそのまま映したかのような、何もないただ眠るだけの部屋を。  高梨は生まれてからずっと、愛を知らないとも言っていた。 「じゃあ、これからもずっと、一緒にいるよ。メシ作って帰りを待って、夜はひとつのベッドで寝よう」  陽斗は両手を伸ばして、高梨の頬を挟んだ。 「一生分の俺の愛を、全部あなたにプレゼントするよ」  運命の番なのだから。  これから恋人になって、伴侶になって、それから、家族にもなろう。  陽斗の言葉に、高梨がわずかに切なそうな顔になった。 「僕のオメガ」  白金色の髪が夜風にゆれている。月影がやどる瞳も、潤んでゆれている。彼もまた、自分に訪れた幸せに泣きたいほどの幸福感を覚えているのだろう。 「愛してるよ」  高梨が愛おしさを一杯に含んだ声でささやく。 「俺もです」  彼の背に手を回し、広い胸によりかかりる。  そうして陽斗は、すべてをゆだねて、相手のすべてを包みこむ心持ちで、幸せに目をとじたのだった。                   *終*

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