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第157話

「僕と、一生添い遂げてください」  真摯なプロポーズに、もう、拒む理由はどこにもない。 「……はい」  だから陽斗も、誠意をこめて返事をした。  すると高梨はいそいそと身をよせてきて陽斗の肩を抱き、髪にキスを落とした。 「大切にする。君が今日から僕の新しい(あるじ)だ。君は僕の生きるすべて。君の幸せが生きる目的。だから生涯をかけて守り通すよ」  言いながら、ひたいや頬にも、何度もキスを繰り返す。そのうち目元を舐めてきたので、陽斗もさすがに恥ずかしくなって身を引いた。過剰な愛情表現は、まるで飼い主を慕うペットのようだ。 「高梨さん、ちょ。……もう、犬みたいだよ」  胸をかるく押すが、両手で身体を包みこまれてしまう。 「そうだ。僕は君の犬になりたいと言っただろう」  こみあげる愛をどう表現していいのかわからないというように、陽斗の髪に頬を押しつけた。 「君は首輪を外して自由になった。今度は僕が首輪をつける番だ」 「レア・アルファなのに。ものすごく偉くて、お金持ちなのに」  オメガに首輪をはめられて喜んでいるなんて。 「けど、これが僕の、たったひとつの願いだったんだから」  満たされた笑顔を向けられると、陽斗は本当に淋しがりやの大型犬を飼う気分になった。 「陽斗君」  高梨が陽斗の顔をのぞきこむようにしてきく。 「僕のこと、十段階で、どれくらい好き?」  期待に満ちた表情を見せられて、陽斗もとうとう嘘をつけなくなる。今まで隠してきた本心を、ようやく素直に口にした。 「十点満点だよ。……てか、本当は、出会ったときから、満点だったんだ。なのに、何だか、それを認めるのが悔しくってさ。俺は機能不全オメガだったから。だから、わざと(から)い点数つけたんだ。……ごめんなさい」  反省しつつ告白すると、高梨がきれいな瞳を輝かせる。

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