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第41話

ーーーSide昴 なんだこの気持ちは。俺は流が好きな筈だ。 楓たち以外で初めて俺と対等に話してくれた流を好きになった筈なのに。 あの時のキスが忘れられない。俺を抱えるあの温もりが忘れられない。 「奈央」 なんで俺は"会長"なのに奈央は名前で呼ぶ。 なんで俺は名前を呼ばれたい? なんで奈央に触れるのに俺には触れない? 「バカは嫌いだよ」 俺はバカじゃない。 「昴ー遊ぼーぜ」 ちょっと前まで求めていた流のこの無邪気な声にちっともときめかない。 俺が近くにいたいのは流だろ?あいつじゃない筈だ。頭でいくら否定しても思い出すのはあいつの感触で俺も仕事をすれば触ってくれるだろうか。名前を読んでくれるだろうか 流を誰にもとられたくなくて仕事なんてせずに遊び回ってた俺じゃあいつは俺を側に置いてくれないだろう。 いつもだったら楓達と流を迎えに行く朝だがいつもより早めに寮を出て生徒会室に向かう。 いつかは俺に会いに来てくれるだろうか? 俺を見てくれるだろうか? そんな淡い期待はすぐに訪れはしたものの なんで奈央とともにくる? つまりそういう事なのか 俺はお前の側にいさせてくれないのか?

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