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第69話 純白の天使④
「……和浩さん、一生のお願いを何度するんだよ?」
ジトンとした目つきのまま、やや呆れたような口調で、黒崎が言い返してきた。
「だってさ、せっかくそんなかわいい恰好してるんだから……」
「……じゃ、オレがそのセリフ言ったら、和浩さんもこのエプロンつけてくれる?」
しばしの沈黙のあと、黒崎がそんなとんでもない交換条件を持ち出した。
「えっ!? いや、それは……」
「だって川上先生は、このエプロン、オレたち二人にプレゼントしてくれたんでしょ? だったら和浩さんがつけるのもありだと思うし、オレだって和浩さんがこれをつけた姿見たいし。……和浩さんがこのエプロンをつけてくれるんなら、オレも和浩さんの一生のお願いの二回目を聞いてあげる」
沢井は迷った。
どう考えても、あんなかわいいエプロンは自分には似合わないだろう。
しかし、結局、萌え願望のほうが勝り、沢井はその条件を飲んだ。
黒崎は真っ赤になって、言葉を紡いだ。
「お、おかえりなさい、あ・な・た。お風呂にする? ごはんにする? それともオレ?」
若干棒読み気味ではあったが、天使のエプロン姿で、彼の癖である小首をかしげる仕草付きで言われ、沢井の理性は粉々に砕け散った。
黒崎を姫抱きにさらうと、寝室へと向かい、ベッドへ彼を降ろし、エプロンをはぎ取る。
「か、和浩さんっ……約束が違っ……んっ……」
「雅文……」
「あっ……、や……和浩さ……」
後日。
約束通り、沢井も純白のフリルのエプロンを身に着けた。
死ぬほど恥ずかしかったが、沢井の姿を見て笑い転げる黒崎が、とてもかわいかったので、良しとしたのだった……。
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