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第68話 純白の天使③
「な、雅文、一生のお願い」
沢井はそう言って、拝み倒した。
「……そんなにつけて欲しいの? そのエプロン」
「欲しい」
「…………」
黒崎は小さく溜息をつくと、恥ずかしそうに沢井の手から、その真っ白なエプロンを受け取った。
そして後ろを向くと、モソモソとエプロンをつけ、沢井のほうへ向き直った。
純白のフリルがいっぱいついたエプロンは、黒崎にとても似合っていた。
愛らしい顔を桜色に染め、華奢な体に純白のヒラヒラをまとった黒崎は、まさに天使。沢井の新妻……。
クールなイケメンはどこへやら、沢井がぽーっと黒崎の可憐さに見惚れていると、彼が口早に言った。
「も、もういいでしょ? 和浩さん。こんなの恥ずかしいよ、オレ」
「ち、ちょっと待ってくれ。雅文、もう一つお願い」
「え……?」
「その格好のまま、『おかえりなさい、あ・な・た。お風呂にする? ごはんにする? それともオレ?』って言ってくれ」
「…………」
黒崎がジトンとした目で沢井をにらむ。
だがヒラヒラ純白天使の愛する人に萌え萌えの沢井は、またもや拝むようにして頼んだ。
「雅文、一生のお願い」
沢井の本当の本音は、裸に純白のフリルエプロンを身に着け、そのセリフを言ってもらうことだったが、そこまで言うと、おそらく彼は三日間は口をきいてくれなくなるだろうから、これでも譲歩したのである。
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