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【第3話】設定18℃にしていそしむこと(6)

「きもちい……けど、ヤだ……」 「ん? 何が嫌なの?」  いくせぇ……、と有夏の両腕が男の頭を抱きしめる。 「さわって。いくせ……」  はやくはやくと、うわ言のように熱く繰り返す。  ゴクリと幾ヶ瀬の喉が鳴った。 「……どこ触ってほしいの? 前触るか、後ろに挿れるか……有夏が選んで」 「んん……っ」  泣き声のような呻きをもらして、有夏は両手の平で自分の目元を覆った。  震える唇が「意地悪だ」と動く。  声にならない。 「ね、有夏……どっち? どっちでも有夏が選んでいいよ。ね、ありか……」 「ヤだよ。選べないっ。どっちも……んあっ!」  両方の乳首を指でキュッとつままれ、有夏は嬌声をあげた。 「どっちもは駄目だよ。我が儘だね、有夏は。ほら、選んでよ。それともずっとこのままでいいの?」 「ヤ、だ……!」  まえ? と幾ヶ瀬が囁く。 「んんっ……」  呻いたまま有夏は首を振った。 「じゃ、うしろ?」  こくりと小さく頷いたのを合図に、幾瀬は自身のパンツと下着を同時にずりおろした。  人のことは言えない。  張り裂けそうに固く屹立したそれは、先端からもうタラリと汁を垂らしていた。 「前より後ろの方がいいんだね、有夏。前って言ったら口でしてあげようと思ってたのに。後ろに挿れてもらう方がいいんだ、ふぅん……」  熱い息と共に呟きながら、有夏の短パンと下着をはぎ取る。  ひくひくと蠢く入口に、幾ヶ瀬は自身の先端を当てがった。 「はやく……ぅっ」  有夏が腰をくねらせてねだる様に、幾ヶ瀬の目元に赤みが差す。 「駄目だよ、有夏。いきなり挿れても有夏が痛いんだよ? いいの、痛くて? 俺だったら痛くしていいの?」

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