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【第4話】隣りのアタシはクソビッチ!?(4)
「そう、隣りの女がくれたんだ……何ていったっけ。あのクソビッチ。同じ袋、山ほど持ってた、キモイ」
(──キモイって言われた……)
例によって隣りの幾ヶ瀬家を覗いているアタシ、ちょっと怯む。
有夏チャンの「キモイ」は意外とクルな、傷付くな……。
まぁね。
壁に穴あけて隣室のゲイカップルを覗いてるアタシは、キモイ以外の何者でもないわな。
「ほんとキモイね! あの女、コソコソ有夏に近付きやがって。袋見せてよ。変な物が混ざったりしてないよね。口にしても大丈夫なやつなの?」
幾ヶ瀬の言い草もあんまりだ。
じっくり見ろよ!
きれいに包装されてんだろうが。
工場出荷時の姿のままだよ。
アタシにってか、そりゃビスコに失礼だろが!
さぁ、有夏チャンよ。気にせず食ってくれ。
期限はギリだけどな。
アンタにとっちゃビスコは立派な栄養源なんだろ。
食っとかねぇと、ヘンタイメガネのねちっこい攻めに耐えられねぇぞ?
まぁ、アタシとしちゃ耐え切れなくてガクブルってる有夏チャン拝ませてもらうのも、また至福なんだけどよ。
イカンイカン。
アタシまでこりゃ末期だよ。
「あの女……クソビッチめ。こないだなんて期限切れのスナック菓子を有夏に食べさせやがって。地獄の底に叩き落としてやりたいわ!」
そんなんで地獄──しかも底にまで落とされちゃたまんねぇよ。
(あと、アタシの名前はクソビッチじゃねぇ!)
ヘンタイメガネ、何かすごい怒ってる。
紙袋ひっくり返して、床にビスコぶちまけて賞味期限を調べてる。
ギリって言ったって期限まで2週間近くあるものだし、それにたとえ少々過ぎててもアタシなら平気なんだけどな。
気にする人もいるけど、ちょっとくらい過ぎたって傷むものでもないんだけどな。
「有夏に工場で大量生産された物なんて食べさせたくない!」
いやいや有夏チャン、そういうの大好きだよ?
へたすりゃアンタの作った食事よりもお菓子食べてる方が多いよ?
「有夏には厳選した原料を、俺がイチから作ったものを口にしてほしいのにっ!」
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