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【第5話】中世ヨーロッパの男娼館での営みを妄想シテみる(2)
「最初のころは幾ヶ瀬、優しかったし。有夏に色々話しかけながらってか。気遣ってくれてるのが分かったってか。うんー……?」
幾ヶ瀬は明らかに焦った様子。
「そ、そりゃ最初の頃は俺も緊張してたし。でも今も優しくしてるつもりなんだけど……」
「ぅうーん……」
ドサマギで顔を近づける幾ヶ瀬。
有夏はその額を押さえつけてグイと押しのける。
「そもそもなんだけど。有夏たち、何回したっけ?」
「いや、回数はちょっと……」
「回を追うにつれて幾ヶ瀬、雑になってく」
「それは……、そんなことは……」
口ごもり狼狽してるのかと思いきや、幾ヶ瀬は一瞬ポッと頬を染めた。
回数かぁ、なんて呟いている。
「けど本当に何回になるんだろ。そもそも俺達、何年? 4年ほどになるよね」
「うん? さぁ……」
「最初の10回くらいまでは覚えてたんだけどな。だんだん分かんなくなってきて。一晩で何回したかも分からなかったりするし。あぁっ、俺惜しいことしてる! ちゃんと数えてメモっときゃ良かった。体位ごとに統計とっときゃ良かった」
「…………何の統計」
「いや、待って待って。対面座位が一番多くない? それは間違いないよ。有夏だって好きでしょ、ね?」
「………………幾ヶ瀬」
「いやその……ごめん。気になって……」
それでも回数とか統計とか。
幾ヶ瀬、頭の中で数字がグルグル回っているのが分かる。
「日中、脳内でも再生してるし。本当に回数まではちょっと……。1回いくらとか金がかかるんだったらちゃんと覚えてるし、家計簿にもつけるんだけど」
「家計簿って……何の項目だよ。あー幾ヶ瀬のそういうトコ、キライだわ」
脳内で再生も、家計簿につけるも引っかかるが、しかし有夏は金がらみで過剰な反応を示す幾ヶ瀬のそういうトコに顔をしかめた。
「1回いくらって……下品だな。え、それってもちろん有夏が貰う方でいいんだよね」
呆れ顔での問いかけに、しかし幾ヶ瀬は真剣な表情を崩さなかった。
「それはまぁ……通常であれば、俺が有夏に払うってことになるのかな。でもお互い良い思いをしてるんだから、そういうのは気にしなくても、ね?」
「………………」
「そもそも1回ってどういうこと? 一回射精したら終わりなの? その後また2回目始めたら料金は×2ってこと?」
「……知らねぇし」
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