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【第5話】中世ヨーロッパの男娼館での営みを妄想シテみる(1)

 イチャイチャ。  という表現がやはり相応しいか。 「有夏の唇、やわらかい……」  互いの口の中をかき回し、唾液を交換し呑み込む。  舌を舐めて絡めて。  最後は唇を軽く合わせて終わる、いつものくちづけ。  日に何度か行われるその行為だが、今は夕食の支度まで少し時間があるからか、幾ヶ瀬のキスは執拗だった。  何度も音をさせて唇を犯しながら、Tシャツの上から有夏の身体を撫でまわす。 「んん……」  有夏が僅かに身を引いた。 「なに、幾ヶ瀬。するの? いま?」 「え、しないの?」  その気がなかったとしても、思わず欲情してしまうキスだったのに。 「ん…別にいいんだけど。何かねぇ…何かねぇ……?」  有夏、浮かぬ顔だ。  幾ヶ瀬は眉をひそめた。 「嫌ならしないよ? どうかしたの、有夏?」 「んー……特にイヤでもないけど。別にどっちでもいんだけど?」  どうにも煮え切らない返事だ。 「なんていうか、幾ヶ瀬が……」 「なに? 俺が何かした? キスしたのが嫌だった?」  戸惑いの思いからか、語尾が掠れた。 「ぅうーん……」  そんな幾ヶ瀬をチラリと見やって、有夏。肩を竦める。 「だって幾ヶ瀬、有夏に当たり前みたいに…セッ、セッ……するし。ちっとも有り難がってないし。何かこう…何かねぇ……」  セックスとはっきり言えないらしい。  それなのにセックスのマンネリ化に不満を抱いているらしい。

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