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【第6話】覗いたときは事後でした(1)

「…も、抜けって」  有夏が呻いた。  呼吸はまだ荒い。  ベッドに横たわったまま、相手の体重を感じるのが心地良いのか、声が甘い。  そんな彼の整った顔を至近距離で見つめながら、幾ヶ瀬がいつものように髪を撫でる 「抜いてるよ」 「んぁ?」  訝し気な表情。  折り重なって互いの息遣いを感じながら、蜜のような時間を過ごす──これは明らかに事後の光景だ。 「ホントに?」  顔を赤らめ、尚も念を押す有夏。  成程。ふたりの身体はぴたりとくっ付いてはいるが、幾ヶ瀬のソレは有夏の腿にやわらかく触れている。  どうやら満足した様子で、挿入時の硬さは失われていた。 「なんかまだナカに入ってるみたい。感覚が……」  感触を確認するように目をとじる。  唇を舐めると、有夏は微笑した。 「どうしたの、有夏」 「や、何でも……」  微笑はニヤニヤに変わっている。 「有夏? 顔、赤いよ?」 「う……いや、だからさ……初めての時は……フフッ」  照れ笑いがこぼれる。  耳だけでなく、有夏は目元まで赤く染めていた。 「……初めてシタとき。あの時は3日くらい腹ん中火事で。ずっと何か入ってる感触が残ってて……」 「有夏……」  ニヤニヤが幾ヶ瀬にも移る。 「あの時は可愛かったな、有夏。感じるのに声出すの我慢して、目うるうるさせて。可愛かったぁ……」 「過去形かよ」

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