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【第11話】そうだったのか、胡桃沢家(5)

「そうそう、麗しの六華(リッカ)姉妹だ。小学校の時から、学区違うのに超有名で。本当に6人共、有夏とそっくりだよね」  そっくりだという綺麗な顔を、有夏は思い切り歪めた。 「何が麗しのだ。六匹の本性、誰も知らねぇんだ」 「匹って……実のお姉さんたちでしょ。ええと……六華姉妹、名前が面白いんだよね。何だっけ?」  否定されたと感じたか、有夏が唇を尖らせる。  それでも幾ヶ瀬の問いに対しては指を折りながら答えた。 「麗華(レイカ)、響華、涼華(スズカ)、結華(ユイカ)、愛華(マナカ)、百華(モモカ)……で、有夏も元は有華だったんだとよ。女の名前しか考えてなかったんだって。んで、男が産まれたから華はあんまりだって夏に変えたってよ。うちの親、アホだから」 「そうなんだ。男なのに可愛い名前だなって思ってたんだよな。まぁ中身もカワ……」 「何も可愛くねぇよ。あの六匹はモンスターだ。甚だしい奇行種だ。有夏はただ……恐ろしいだけだ。死ぬ……」  幾ヶ瀬の膝の上で、有夏はさめざめと泣き始めた。 「奇行種なんだ……」 「う、うん……」  たぶん「奇行種」というワードを使いたいだけなんだろうなと、幾ヶ瀬の苦笑。

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