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【第11話】そうだったのか、胡桃沢家(6)

「有夏の実家、知ってんだろ。狭い団地なんだよ。4畳半の部屋3つと小っさい台所しかなくて。そこに姉ちゃんら6に……匹と有夏、あとお父とお母の9匹……人で住んでて……」 「うんうん。もう『人』で統一しなよ」  背を撫でながら聞いてやる。  あまり裕福ではない胡桃沢家だったが、両親の仲の良さと、子らの美貌は近隣でも評判だった。  だが、容姿は美しくても内面は色々あるようで。 「姉ちゃんら家ん中、全裸でノッシノッシ歩いて、いきなり取っ組み合いのケンカ始めるんだ。こう……いきなりグワッとつかみかかる感じで。予測不能な動きで、毎日どこかが揉めてて。有夏はとにかく怖くて……」 「う、うん……」  高校卒業までいた自宅の辛い日々を思いだしたか、有夏の表情が沈む。  ミバの良い末弟は、パワフルな彼女たちにとって格好のオモチャだったらしく、ベロンベロン舌を入れてキスをされたり、弟の性器をわしづかんでそのサイズを馬鹿にしたりという──そのあたりはさすがの有夏も言いにくそうにしていたが。 「ベロンベロン……」  幾ヶ瀬が目を見開く。  減るもんじゃねぇだろ。やわらけー、弟のクチビルぅとか言って次々襲われる少年有夏を想像したに違いない。

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