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【第11話】そうだったのか、胡桃沢家(7)

「そんなんなのに、外に出たら上品ぶりやがって。女って本当に怖いんだ」  どうやら有夏のコミュ障の原因はそのあたりにあるようだ。  ついでに彼女じゃなくて彼氏がいるのも、恐ろしい姉たちの存在が大きく理由を占めているように思われる。 「……だから、幾ヶ瀬に初めてチューされた時、やさしくて死ぬと思った」 「有夏……」  どちらともなく指を絡めて互いの唇をついばむ。 「いく、せぇ……」 「ん……駄目だよ、有夏」 「いくせ、舌いれて」  鼻が触れ合うくらいの間近に有夏の弛緩しきった顔を見て、幾ヶ瀬は狼狽えたように視線を逸らせた。 「だ、駄目だよ、有夏。掃除しなきゃだろ? あれほどのゴミ屋敷、けっこう時間かかるよ? それに明日、俺早番だし……あひゃ」  有夏が幾ヶ瀬の唇を舐める。 「だ、駄目だって。俺、風呂入ってない……じゃなくて! 遅番の次の日が早番ってどんなシフトだよ……じゃなくて……有夏ぁ」  幾ヶ瀬の制止を完全に無視して、頬に舌を這わせ耳たぶを噛む。  尻の下で幾ヶ瀬のモノが固くなる感触に、有夏は笑みをこぼした。

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