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【第12話】有夏邸 脱・GM屋敷!(8)

「有夏さん、有夏さん? 俺の出勤まであと8時間を切りましたよ? この上、邪魔までする気なの?」 「礒兵衛が面白くてつい……」 「ほら、雑誌もまとめて古紙に出すから。貸して」 「は? やだよ。読んでんのに。それにこれは神回だから永久保存版で……」 「今は漫画を読む時間じゃないよね」 「う……」 「どうせ単行本で買ったんでしょ。雑誌まで買ったら二重の出費で勿体ないじゃない。それにこれ分厚くて場所とるし」 「だって雑誌じゃ煽り文句みたいなとか、次回へのヒキの文章とか入ってて、それがたまに神がかってて。それに単行本になるまで待てない……」 「はいはい、ちょっとごめんね」  全身を耳にしながらも、おとなしくダンボールをくくっていたアタシの頭上を、よりによってまたぐ形で幾ヶ瀬が玄関へ向かう。 「ちょ、どこ行くんだよ!」  有夏チャン、ジャンプを置いて立ち上がった。 「紐がなくなりそうだから家から取って来るだけだよ。有夏は待ってて」  有夏チャン、チラッとアタシの方を見て、顔を強張らせた。 「あ、有夏も行くっ!」

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