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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(3)
そういう幾ヶ瀬だって、普段なら出勤は10時。
徒歩数分という通勤時間を考えれば、朝食と洗濯の時間を加味しても8時半起床で十分である。
「それに今日は、休みとか言ってたんじゃねぇのか」
6時前に起きてこれだけの料理を作ったというのか?
気持ち悪いヤツだという思いを表すように、有夏の目がじっとりと細められる。
「冷蔵庫が直ってそんなにうれしいのかよ」
存外早めに修理に来てくれたおかげで、冷凍庫奥に入れていた食材は無事だったと幾ヶ瀬が喜んでいたのはつい昨日のことだ。
「違うよ。そりゃ5年保証で修理費タダは当然として、出張費もいらないって聞いて本当にホッとしたんだけど。今の時期、お金を払うと払わないは180度違うからね……でも違うよ!」
そこで幾ヶ瀬は言葉を切った。
グイと有夏に顔を近づける。
「有夏、今日は何の日?」
「………………」
おそらく世の男が困る質問ベスト5に入るであろう台詞を、しゃあしゃあと口にして、幾ヶ瀬はにこにこしている。
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