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【第15話】記念日を一緒に過ごしたい派・気にしない派(5)
「うーん、シャキシャキしておいし……って」
──違うよ。例えばの話だよ。
またもや小さな声で否定されてしまった。
「うん、違うよな。うん……」
明らかに面倒臭くなったようで、またベッドに横になる有夏の腰を、幾ヶ瀬が強引に両腕で抱え込む。
「駄目だってば。起きてお祝いしようねっ!」
「ヤだよ。だから何の祝いだよ」
「まぁ、おいおい思いだそうねっ!」
「イヤだ。有夏は祝わん」
「まぁまぁまぁ」
寝かせてたまるかと、床に引きずりおろすと、有夏は抵抗なくズルルとベッドから這い落ちた。
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