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【第16話】幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル(13)

「あ、ありかぁぁ~~~!!!」  校舎に走っていく有夏チャンの背に、幾ヶ瀬は絶叫しながら手を伸ばす。  追いかけようと数歩進むも、ヨロヨロとその場でうずくまってしまった。  どうやら足が震えて動かないようだ。  稲川淳二先生を尊敬する幾ヶ瀬にとって、夜の校舎はホラーの聖地なのだろう。  そんな様子を録画しながら、アタシはネカフェの悪夢を思い出していた。  家出した(?)有夏チャンを追いかけた幾ヶ瀬が、ネットカフェでハッスルした一件だ。  アタシも巻き込まれて大恥かいたっけな……。  それに比べたら今は周囲に人がいないから、気持ち的には楽だな。  もしも七不思議の霊がいたとしても、現実世界の人じゃないから気遣い不要だもんな。  生きてる人のほうがずっと怖い。  生きてる有夏チャン、そして生きてる幾ヶ瀬のほうがずっと怖いんだ。 「うぅぅ……、番組を成功させなくちゃ……」  震える足を引きずるように這って、校舎に近付いていくYouTuber幾ヶ瀬。  ゆっくり歩いて後を追いながら、アタシは地面を這うヤツを記録し続ける。  ヘンタイメガネよ、アンタの執念はどこからくるんだい?

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