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【第16話】幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル(14)

 無機質なコンクリートが、暗闇に沈むように立ち尽くしている。  4階建て校舎の玄関は大きな引き戸で閉ざされていた。  薄汚れたガラス窓の向こうは真っ暗だ。  棚らしき濃い影が並んでいる様子から、どうやら下足ロッカー置き場だと分かった。  先に着いた有夏チャン、取っ手を引っ張っているが、当然ながら施錠されていて扉はピクとも動かない。  すると有夏チャン、バカ特有の異様な行動力で玄関横の窓をひとつひとつ動かし始めた。  開くわけないと思うんだが、こういうときはひとつだけあるんだな──誰かのウッカリで、鍵が開いている窓ってやつが。 「ひぃぃ、暗いよぉ……」  幾ヶ瀬がヨロヨロと立ち上がる。  髪は乱れ、服が砂まみれ。ホラーに相応しい様相だ。  有夏チャンの気を引きたいのだろう。クネクネ動いているが哀れなくらい無視されている。  この時、アタシが思ったのはこの一語にすぎる。  ──バカってスゴイ!  有夏チャンときたら、躊躇する様子もなく窓枠に足をかけると暗い校舎の中に消えていったではないか。 「いやぁぁぁ、ありかぁぁぁ……」  怨念チャンネル主催者、その場でガタガタ振動し始める。  ああ、震えているんだな、可哀想に。 「ラ……ララライト……」  それでも、さすがと言うべきか。  大事な彼ピを放っておくわけにもいかず、窓から室内を覗きこむ。

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