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【第16話】幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル(16)
つられたアタシもヤツの目線を追って、そして驚愕する。
校舎の玄関前には軒がついている。
その上に、人影がユラリ。揺れているのが分かったのだ。
「ななな七不思議のななな七つ目!」
「げげげ玄関に落ちてくる女生徒!」
アタシたち2人はその場で腰を抜かした。
人影は軒の上で軽やかに跳ねている。
スラリとした体躯。伸びた襟足が夜空に舞う──どこかで見たシルエットだ。
「えっ、待って?」
アレ、有夏チャンじゃないか?
そう気付いた瞬間、バカは軒から飛び降りたのだ。
軽やかに校舎の玄関前に着地すると「2階の窓から出てきた」なんて言う。
えっ、何ですか?
1階の窓から入って、階段上って2階の窓から出るのがアンタの校舎内順路なんですか?
「あっひゅうぅぅぅ」
ヘンな声をあげて、幾ヶ瀬がゆっくりと倒れた。
有夏チャンがとっさの反応で避けたものだから、ドシンと音を立てて幾ヶ瀬は地面に倒れ伏す。
ひ、人が失神するとこ初めて見た……。
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