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【第16話】幾ヶ瀬Present's愛と笑いの怨念チャンネル(18)

 深夜の学校。玄関前。  死にかけのヘンタイメガネと取り残され、アタシはパニくった。 「ど、どうしたら……」  放っておくわけにはいかない。  それはさすがにマズイ。人として。  ノゾキで捕まるのもイタいが、死体遺棄(いや、まだ死体にはなってないんだが)は、ガチモンの犯罪だ。  アタシが巻き込まれただけの被害者なのは確実だが、その言い訳が果たして法廷で通用するものか……。  いや、待って?  ノゾキで捕まるより、死体遺棄のほうがダメージ少なくないか?  なんていうか、精神的なダメージってやつが。 「グゥーッ、グゥーッ」 「はっ!」  ひときわ大きなイビキ。  アタシは我に返った。  ダメだ。ノゾキでも死体遺棄でも、どっちに転んでもアタシの未来は「法廷の被告人」だ。  ならば、この場で幾ヶ瀬の死体を何とかするまでだ。  何故なら、死体が誰にも見つからなかったら、少なくとも「死体遺棄」事件は成立しない。 「フッ、この学校の怪談が『八不思議』になってしまうな」  なんてニヒルに呟きながら、メガネの肩を抱えたときだ。

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