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【第17話】『閲覧履歴に基づくおすすめ商品』は人物の内面を完全に晒す(1)

 乱暴に扉が開かれた。 「ありかーっ!!」  夜中だというのに、玄関先で絶叫するのは幾ヶ瀬だ。 「有夏ぁ、俺もう仕事やめるぅ!」 「おー、おかえり。遅かったな」  PS Vitaから視線をあげて、有夏ときたら涼し気な表情だ。  そんなとこで喚いてねぇで部屋に入れよとの言葉に、幾ヶ瀬は素直に靴を脱いで駆けてきた。  小走りの勢いそのままに有夏に抱きつく。  ベッドに腰かけゲームに興じていた有夏は自然、押し倒される格好となるわけだ。  彼の上にのしかかって、幾ヶ瀬は実に情けない面である。 「俺もう疲れた。仕事辞める!」 「あぁ……」  有夏、半眼をとじた冷たい表情だ。  じっとり視線に気付いた幾ヶ瀬は、顔をあげる。 「あぁって何なの、有夏?」 「いやぁ……だって、ねぇ?」  有夏の口の端が歪められた。  繁忙期になると響き渡る「仕事辞める」「もう辞める」「明日辞める」コール。  もはや連日である。

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