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【第21話】魔法のアイテム(9)

「有夏、起きて。ご飯食べるよ」 「んぁー……」 「有夏! 寝ちゃうよ?」 「寝ないって……あったかー。一生ここから出たくない……」  ダメ人間の発言にも幾ヶ瀬は寛容だ。 「じゃあ寝てていいよ。俺が口移しで食べさせてあげるから」 「いく……」  想像して顔を赤らめるかと思いきや、有夏は途端に笑い出す。 「口うつしって……ペンギンの親子かよ!」 「ペン……っ」  馬鹿笑いされて、幾ヶ瀬もさすがにムッとしたようだ。黙り込んでしまった。 「やれやれ。めんどくせぇ」  のそのそとコタツから出る有夏。  ズルルと這うように幾ヶ瀬の元へにじり寄ると、その胸に身をあずけた。  幾ヶ瀬の喉元に顔を擦り付ける。 「ここもあったかいから、けっこう好きなんだけどな」

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