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【第21話】魔法のアイテム(10)

「あり……」  幾ヶ瀬の方が赤面する。  両手で有夏の頭をかき抱くと、自身の胸にぎゅっと押し付けた。 「こたつ片付けたら、ずっとこうしててくれる?」  コタツを片づけるなんて悪魔の所業かと怒りだすと思っていたのだろう。  しかし有夏が返事をすることもなく低い声で笑っただけだったので、幾ヶ瀬は手を放すタイミングを失してしまった。 「有夏、好きだよ……あでっ!」  有夏の鮭の切り身に指を這わすと、今度は容赦なく手の甲を叩かれてしまう。 「ごはんが先だろうが」 「だ、だね……」  これからコタツ生活が始まり、有夏のダラけっぶりに拍車がかかるわけだが。  イチャつきたい幾ヶ瀬と、コタツから離れたくない有夏の間に少々剣呑な空気が流れることもあるのだが。  今日のところは2人は仲良くコタツに入って昼食を共にした。 「魔法のアイテム」完 22「いいところ」につづく

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