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【第22話】いいところ(1)
浅くて早い息づかい。それから吐息。
灯かりのない室内を淫らな音が満たしていた。
「カーテン……」
囁き声。
咎めるような響きは、しかし指先が粘膜を弄うその音に呑まれてしまう。
窓の外には街灯が設置されている。
青白い灯かりが、ぼんやりとこの2階の窓にも届いていた。
壁にもたれるように足を投げ出し、ベッドに腰をおとしているのは細身の男だ。
薄くて頼りないTシャツのほかは何も身につけておらず、伸びた足が外からの灯かりに白く照らされている。
つと──足指から脛を、指が這う。
「んっ……」
堪えるように微かな吐息を漏らしたのは有夏である。
膝をすべる指が、止まった。
躊躇かとおもいきや、手は容赦のない動きをみせる。
膝の裏をクイと持ち上げると、左右に開いたのだ。
「ちょっ、まっ……んんっ」
窓から滑り込む青白い光の下、すべて晒して。
反対に有夏は自らの両手で顔を覆った。
「何で顔、隠すの?」
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