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【第25話】正月気分(5)

 だって有夏は年中こんな生活だもん、なんて反抗したら幾ヶ瀬の額は血を噴き出してしまうに違いない。  強欲な店長(幾ヶ瀬・談)が初詣客を狙って店を開けたものだから、元日出勤を強いられた彼は今更ながら少々苛ついているようだった。  目の前でこうやってダラけられて、火に油を注いだか。 「……それはまぁ良いけどね。その代わり1月後半にまとまった休みをくれるって話だし」 「おぉ、よかったじゃねぇの。クリスマスも正月も休めなかったもんな。やり直したら?」  適当に口をついて出た案だが、それを聞いた途端、幾ヶ瀬の額から青筋が消えた。  やれやれと息をつく有夏。  幾ヶ瀬のやつ、急にブチ切れるから意味分かんねぇと、聞こえないように小さく呟く。

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