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【第26話】冬のあさ(4)
「ありかー……ふふっ」
幾ヶ瀬は笑う。
耳たぶに噛みついて首筋に舌を這わし、服をはぎ取ってやろうかと思う反面、この寝顔を見ていたいと願ってしまう。
雪は不思議だ。欲望を白に覆って隠してくれるのかもしれない──柄にもなくそんなことを考えながら、彼はベッドにもぐりこんだ。
布団と、傍らの人のあたたかさから、すぐに瞼が重くなる。
寝ちゃったら勿体ないと思うものの、抗える筈もなく。
有夏の腰に手を回し、その背に顔を埋めて。
ゆっくりと眠りに落ちていく。
幸せな時間だと──そう思っていることを有夏に伝えたくて僅かに開かれた唇は、しかしすぐに寝息をこぼしはじめた。
「冬のあさ」完
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