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【第30話】独りのときのテンションたるや(3)

 職場から5分程度という帰り道であるが、やはりこうも遅くなると人通りやコンビニの客の人数など見える景色がかなり違っている。  階段を上がり切って、鞄から鍵を出す。  こんな時間になって、有夏は心配しているだろうか──そんな考えが一瞬過ぎって「いや、ないな……」と哀しく打ち消す。  どうせ、こたつに潜りこんでゲームをしているに違いない。  それとも、こたつに潜りこんで漫画を読んでいるか。  あるいは、こたつに潜りこんでうたた寝をしているかもしれない。 「何か腹立つな……」  食事を作って風呂に入って、今夜はさっさと寝てしまおう。  昨日の鍋の残りにもやしと麺を放り込んで、それを食べよう。  作るのには15分もかかるまいと算段をたてる。

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