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【第32話】最後の攻防(1)

 じりじりと間合いをつめて、睨みあう二人。  これは、最後の攻防だ。 「もうじき4月になるんだから!」 「だからぁ? 関係ねぅし!」  夜の10時を過ぎて、大抵ご近所迷惑になるだろう大声であった。  プラザ中崎の一室。  幾ヶ瀬と有夏、例のモノを挟んで互いに引く気配はない。  と、幾ヶ瀬が動いた。  例のモノの天板を両手でガッとつかむ。  させじと有夏、その腕に取りすがった。 「ウラァ!」 「ガッ!」  獣じみた咆哮。  そして、唸り声が響く。

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