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【第33話】よわよわ☆テスト(1)
「うぉっ! おぉーーっっ!」
咆哮。
それは、空も裂けよといわんばかりの悲痛な叫びであった。
「うぉー-っ! てーんーちょーのやつーっっ!!」
そう。例によってである。
GWが全滅だった幾ヶ瀬が、自室のベッドに突っ伏して吠えているのだ。
「うぉーーー! 店長ーーっ、死ねーーーっっ!!」
「ちょお……いくせ?」
傍らの座卓に座った青年が「うっわ」と呟き、これは明らかに引いていた。
こういう時だけ有夏は美青年然とした澄ましたツラをするので、幾ヶ瀬としてはイラッとくるのだろう。
じっとりした目線で彼を睨みつけてから、あてつけのようにもう一度吠える。
「やーすーまーせーろー! てんちょー、死ねーーー!!」
GWが全滅というのは、この場合『全日出勤』という意味である。
店長死ねと連呼しつつ幾ヶ瀬は、自分は世界で一番気の毒な労働者なのだと切々と語り始めた。
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