「うぅ……せめて1日休みたかった。バスツアーとか行きたかった……」 「らすつあー？」 　有夏が首をかしげる。 　アーモンドチョコを口の中で転がしているため、言葉が不明瞭なのはご愛敬か。 「旬のお土産7品付き・果樹園巡りと老舗料亭でランチコースをいただく1日バスツアー……行きたかった」 「……そんなに行きたいか、ソレ？」 　幾ヶ瀬の発想ときたら、もはや若者のそれではない。 「行きたかった！　有夏と一緒に行きたかった！」 「えぇっ、有夏も……？」