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【第33話】よわよわ☆テスト(5)

 いや、幾ヶ瀬に言われたくねぇわ──有夏がボソッと呟くが、幾ヶ瀬に堪えた様子はない。  どこも混んでいるのは、たしかにその通りである。  逆に穴場かと思って行った近所のスーパーでさえ、レジにものすごい行列ができていてゲンナリする、それがGWだと有夏は力説した。  可愛い(←? 疑問符が付くのは致し方ない)恋人にそう慰められ、幾ヶ瀬はようやく死ね死ねコールをやめることにしたようだ。 「だよね。仕事が仕事だから、世間が休みのときに動かなきゃいけないのは仕方ないし。その分あとで休みが貰えるし……貰えるはずだし」  その点が社蓄時代とは違う所だよ、と幾ヶ瀬。  納得するというより、自らを慰めるように呟く。 「平日でも、探せば良いバスツアーあるもんね」 「う、うん」  何故、バスツアーに固執する?

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