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【第33話】よわよわ☆テスト(8)
自分から振ったくせに、幾ヶ瀬はにべもない。
比較的平和な「はじまりの村」に住めるならばあるいは…なんて言い出した有夏の前で手をヒラヒラ振る。
そろそろ寝なきゃ、なんて言い出した。
「俺、明日は遅番なんだよな。で? 実際どこ?」
「は?」
コイツのテンション、意味分かんねぇ…と有夏が小さな声で毒づく。
「何か言った、有夏?」
「う、ううん……」
「で? 実際どこ行きたいか決まったの?」
「えぇ……?」
「行きたいとこ。実際」
「いや、コイツ怖っ……」
テンションが分からないだけじゃない。
話がまったく通じない。
GWを反故にされた幾ヶ瀬の怒りは、どうやら想像以上に深いようだ。
瞳孔は開きっぱなしだし、瞼はピクピク震えている。
「い、行きたいところなぁ……」
ゴリゴリと、有夏はアーモンドを噛み砕いた。
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