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【第33話】よわよわ☆テスト(9)

 ドラクエの世界も進撃の世界もダメだし、いっそダンジョンとか天空とか……いやぁ、それもどうだろう。 「そうだ、まお……」  ──魔王城、と言いかけて黙り込む。  幾ヶ瀬のこめかみがビクビクと痙攣していることに気付いたのだ。  これは「実際」行きたいところを告げなくては、終わらないルールなのか。 「……ふっ」 「ふ?」 「ふじきゅう……そう、富士急!」 「えぇ……」 「富士急なら行きたい!」  有夏、絶叫マシンで有名な、とある遊園地の名を豪語した。 「うむぅ、ふじきゅう……ふじきゅうね……」  額を押さえ、幾ヶ瀬は鸚鵡返しだ。 「そうだ、富士急なら行ってやってもいい。エグい角度のジェックコースターなら乗ってやってもいい」 「乗ってやってもいいって……謎の上から目線は何……?」  テンションが急降下したか、幾ヶ瀬の顔色が悪い。

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