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【第34話】夏だから…怖い話(10)

「えっ?」  幾ヶ瀬の口元からスッと笑みが消える。 「ふじょ…何? えっ、腐女子……? えっ?」  意外なワードを有夏の口から聞いて、一瞬固まってしまったのだ。 「コンビニのやつが言ってたんだけど、友達みたいなのが来て言ってたんだけど、焼き鳥買ったんだとか言ってて、から揚げも買おうってなって、でもお金ないって言って、じゃあ仕方ないねって言って、それでこのアパートの怪談を言ってたんだけど、ふじょしの霊が出てウロウロしてて、壁とか通り抜けたりするって言ってて、さまよってるんだって」 「えっ? 何?…えっ、何か怖い気がする。でもよく分からない。その言い方、ホント何も怖くない。分からない。えっ? えっ?」  コンビニで見かけた人物が口にしていた話だと見当をつける。  焼き鳥とか唐揚げの情報は置いといて。  このアパートに腐女子の霊が出てさ迷ってるって……? 「怖っ! 何それ、怖いんだけど!? このアパートに? 腐女子の霊が? 怖ッ!」  色々ピンポイントすぎて、脳内で整理が追い付かない。

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