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【第34話】夏だから…怖い話(11)

 得意げに話す有夏は、理解せずに喋っているに違いない。 「ふ、腐女子の霊ね……」  幾ヶ瀬はむき出しの腕を自らかき抱いた。 「普通に女の霊が出るとか、恨みを持った女の霊が出るとか言われた方が、まだ心安らかなんだけど? 何かむやみにゾッとするんだけど」 「よっしゃ! 涼しくなった?」  有夏は自分の怪談が認められたと思ったのだろう。  ニヤついている。  ああ、この男は馬鹿だからな。  馬鹿だからこの薄気味悪さが分からないんだなと、1人で納得する幾ヶ瀬。 「ま、まぁ…たしかに涼しくなった気はする、かな。うん」  その時だ。  ピンポーン──。  チャイムが鳴った。  ビクリ。  身を震わせた幾ヶ瀬を見やり、ニヤついたままの有夏が玄関に向かう。

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