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【第35話】冬だけど…リアル怖い話(5)

 頭を抱えた幾ヶ瀬。「話が全然進まないぃ!」と歯ぎしりしている。  埒があかないと、ダッシュでコンビニに行き「ほかほかの白きもの」を二つ買ってきた。  ほくっと齧り付いた有夏の前に正座し、ようやく本題に入ったのだった。 「問題は俺が呪われたかもしれないってことだよ。聞いてるの、有夏!?」 「ひいれるひいれる。もごもご。れもほろわれたらあれじゃね?」  ──聞いてる聞いてる。もごもご。でも、呪われたらアレじゃね?  暗号のような返事を頭の中で解読しながら、この緊張感のなさに三度頭を抱える思いだ。 「あのね、有夏。このれ……レイ……オ、オバケは俺のパソコンを狙ってきてるんだと思う。だからとりあえず、しばらく電源は入れないようにしようよ」 「やらよ。ありかはらいれんはつびゃいのげーむのりょうほうを……」  ──やだよ。有夏は来年発売のゲームの情報を。 「あといくひぇ、霊っていわるにオバケっていうのはこひゃいから? 霊っていうのがこひゃいから?」  ──あと幾ヶ瀬、霊って言わずにオバケって言うのは怖いから? 霊っていうのが怖いから? 「ああ、不思議なことに霊って言葉だけハッキリ聞こえる。やっぱり俺は呪われてしまったのか……」

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