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【第35話】冬だけど…リアル怖い話(4)

 しかし口元はウズウズしていた。 「……霊能力者?」 「えっ?」 「有夏、霊能力者なのかな?」 「いや、知らないし!」  全力でツッコむ幾ヶ瀬。  どうやら霊能力者…というか、「能力者」というワードがオタクの琴線に触れたらしい。  この状況でニヤニヤと、それはそれは不気味な笑顔である。 「では能力者たる有夏は今、ここに肉まんを具現化させまっす!」  宙に両手をかざし「はぁぁぁっ!」と、なんだか気合をいれている模様。 「……あの、有夏?」 「我が腹を見たせしホカホカの白きもの……出でよ、肉まんっっ!!」 「…………あの、有夏?」 「で、出ない……だと?」 「………………あのぅ、有夏さん?」  呆然と手の平を見つめる有夏の背をつつき、幾ヶ瀬は呆れ顔だ。 「前回から肉まん肉まんって……そんなに食べたいならあとでコンビニ行って買ってくるよ」 「前回って、何その時間軸?」 「ああ、またこのやり取りか……」

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