378 / 431

【第35話】冬だけど…リアル怖い話(3)

「ギャアアアァッ!」  喉も裂けよとばかりの絶叫。  幾ヶ瀬は両手で頭を抱え、それから前後に跳ね、さらにその場で尻もちをついた。  めげずに立ちあがり、再び声を振り絞る。 「イャァァァァッッ!」 「半狂乱じゃねぇか」  ちんまり座ったまま茶をすする有夏に、信じられないというような視線を向けてから、おもむろに幾ヶ瀬は口を開けた。 「だってコレ…どう見ても心霊現象……キャアアアァァッ! 呪われるぅぅぅ!!」 「何に呪われるんだよ、肉まんか?」  「肉まん」にツッコム余裕もないのだろう。  幾ヶ瀬は今度はその場に蹲った。 「俺が裏でいつも悪口言ってる常連マダムのメス豚さまー!ごめんなさいぃぃ!!」 「……半狂乱じゃねぇか」  にゅっと伸びた手にノートパソコンの画面をバタンと閉じられ、有夏は少々不満そうだ。 「有夏は来年発売する新作ゲームの情報収集で忙しいのに……」  ずずず……。  茶をすする有夏の肩を幾ヶ瀬がつかむ。 「何なの、有夏。何その落ち着きっぷり! ただの引きこもりじゃなくて、意外と大物なの!? それとも何? 有夏は霊能力者なの!?」  面と向かって引きこもりと言われ、有夏の眉間に皺が寄る。

ともだちにシェアしよう!