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【第35話】冬だけど…リアル怖い話(7)

 語尾が少々弱い。自信なさげに何度も「いや、見てない……見てないよな?」と繰り返しているうちに、気楽な「能力者」は肉まんを食べ終わったようだ。  前回から食べたくてたまらなかったのだろう。念願の肉まんを、しかも二つも平らげて満足げなご様子。  しつこいくらい指をペロペロ舐めている。 「じゃあ、アレじゃね? ユーチューバーイクセの怨念チャンネルの怨念が今ごろになって降りかかってきたんじゃね? 知らん知らん。有夏は知らん」 「怨念チャンネルって、いつの話だと思ってるの!? それに結局、アレは配信できてないし。てか有夏、知らんとか言わないでよ!」 「いや、知らん。有夏は知らん」  ホラー系ユーチューバーを目指し夜の学校に忍び込んだのは、よく考えたら19話も前の出来事なのだ。  夜の学校の雰囲気に呑まれ、あげく有夏に脅かされて失神したっけ。 「そうだ、失神したのは生まれて初めての経験だった……」  遠い目をして呟く幾ヶ瀬。

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