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【第39話】にんげんだもの(4)
予想の範囲を超える返答に、幾ヶ瀬の顔がさすがに引きつる。
「宣言したよ、この人……。働かないって。いやいや、何言っちゃってるの……」
宣言はなおも続く。
「有夏、働かない。宝くじを当てたりして暮らす」
「はぁ……」
もはや声も出ない幾ヶ瀬の前で、こたつに鎮座していた有夏の表情が変わった。
にまにま→にやりといったところか。
何かを悟ったか──ぽかんと開いていた幾ヶ瀬の口が締まった。
一瞬、目が大きく見開かれる。
「宝く……えっ、ちょ……いや、まさかね。有夏? いや、その…えっ、まさか……」
「ふっ……」
「いやいやいや、ありえないよね。あははっ…まさかそんなことが……」
最悪の(?)想像が脳裏をよぎったか、幾ヶ瀬の視点が定まらない。
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