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【第40話】こわい☆みかん(1)

 明日から月に1度の2連休。  しかも今日は早番だったうえに珍しく定時で上がれたと、幾ヶ瀬は上機嫌である。  帰宅して入浴をすませ、ありあわせの食材で夕食を支度を終えたのが19時すぎ。  メニューはいつものごとくというか結局というか……鍋だった。  興が乗ったのでチキンを多めに入れたクリームシチュー鍋に挑戦してみた。  有夏が喜ぶから。  夏に録画した『稲川淳二の怪談グランプリ』を見ながら食事をとり、片づけを済ませてもまだ21時を回ったところである。 「はぁ……堪能した。怪談師の方の語りのクオリティが年々上がっていってる。すごい。さすが稲川大先生……。周囲のすべてを巻き込んでハイレベルな番組をお作りになられる。怪談の神の域を超えている。あの方は人類の救世主だ。はぁ、また明日も見よう」 「幾ヶ瀬のイナガワ愛がハンパない。キモイ」  ブツブツと独り言を漏らす幾ヶ瀬の隣りで、みかんの皮を剥きながら有夏が吐き捨てた。

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