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【第40話】こわい☆みかん(6)

「はぁー、ヤレヤレ。寝っ転がると楽だー」  身も蓋もないセリフを吐きながらも、膝枕で甘える有夏。  なんて可愛いんだろうと幾ヶ瀬は唇を寄せる。  しかしその鼻先に、有夏の手の平がスッと差し出された。 「あ、ムリ」 「えっ?」  みかんがまだ口の中に残っているのか、モゴモゴと口を動かす有夏の顔を、幾ヶ瀬はしばし見つめる。 「もごもご。お腹いっぱいだし。みかん食べてるから。そういうの、ムリ」 「あの……俺、明日休みなんですけど。驚異の2連休なんですけど……」 「いやいやいや。だってみかん食べなきゃ。今の有夏の口はみかん食べるためにあるから」  真顔の有夏。 「怖っ」  さきほどの怪談よりもずっと薄ら寒いものを感じたか、幾ヶ瀬がじりじりと身を引いた。  ゴンッと派手な音をさせて有夏の頭が床に落ちる。 「みかっ」  コイツ……「痛っ」って言うところを「みかっ」って言った。

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