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【第40話】こわい☆みかん(5)

「……もう入ったてば」 「チッ」  幾ヶ瀬の返答に、有夏は明らかに不機嫌そうに首を振った。  何話での出来事だったか(例によって作者は忘れてしまった!)。  風呂に入っている幾ヶ瀬を、外から扉を叩いて驚かせるという恐怖の演出を試みて以来、有夏は隙あらば同様のことをしようとするのだ。  回を重ねるごとにエスカレートしてゆく恐怖の演出。  今日は風呂に閉じ込めて、怪談話でも聞かせようという魂胆だったのかもしれない。  そうそう同じ轍を踏んでたまるかと、幾ヶ瀬は成長したのだ。  稲川淳二大会を開催するなら、その前に風呂を済ませるのが必定。 「チッ、つまんねぇな」  座卓の上に置いていたみかんをすべて腹に収めて、有夏はコロリとその場に寝転んだ。 「ダメだよ、有夏。寝てすぐに横になると牛になるよ?」 「おばあちゃんかよ」  幾ヶ瀬が自分の膝をポンポン叩くと、有夏はズルズル這ってきてそこに頭を乗せた。

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