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【第40話】こわい☆みかん(9)

「まぁいいや。言っちゃう」  気楽な調子で結論付けて、有夏はスッと指をさしたのは冷蔵庫だ。  正確に言うと、冷蔵庫の横にくっ付けたマグネットフック。そこにぶら下げられている網状の袋であった。 「幾ヶ瀬が夜な夜なキッチンに立って、何かブツブツ言いながらその袋に何か詰めてる。ここんとこ毎日」 「うそっ、覚えてない……。俺、何て言って……?」 「食べなきゃ。みかんを食べなきゃ。みかんの皮まで残さず食べなきゃって言ってるぅー」  語尾が異様に明るいのは、有夏なりの配慮なのだと推察できた。 「うそ。俺、そんなことしてたんだ……」  呆然と網状の袋に触れてみる。  よく見ると、中にはみかんの皮がギュウギュウと詰め込まれているではないか。 「……なにこれ」 「幾ヶ瀬、毎日みかん食べてるし。ついに憑りつかれたんだなって思って。怪談ファンだし、それもいい経験かなって思って」  有夏の苦い表情。 「ああ、そうか。有夏じゃなくて俺が憑りつかれてたのか……」

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