449 / 451

【第40話】こわい☆みかん(10)

 あるいは両方なのか?  みかんはその美味しさで人を虜にし、そして憑りついてしまう魔物なのだろうか。  よく見れば手の平がまっ黄色だ。  みかんをよく食べる人は、その色素が皮膚に沈着してこんな色になるという。  ふるふると両手を震わせて、幾ヶ瀬は宣言した。 「信じられないけど俺、俺……みかんに憑りつかれたんだ。どうしよう……」 「どうしようって言っても、もうどうしようもないよね」 「冷たっ! 待って待って。決めたよ。俺、この恐怖体験ひっさげて来年の怪談グランプリにエントリーする。優勝間違いなしだよ!」 「う、うん……」  びっくりするくらいのポジティブ思考である。  もしかしたら稲川大先生にお会いできるかもしれないと、幾ヶ瀬は鼻歌交じりにみかんの皮の状態をチェックしてはじめた。  乾燥して小さく縮んでいるものを触って「よしよし」と頷いている。  目がバッキバキだ。

ともだちにシェアしよう!