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【第42話】お風呂をめぐるあれこれ(表)(1)

「ねぇ、一緒にお風呂に入ってぇぇ」 「は? ヤだよ!」 「そう言わずにちょっとだけだからさぁぁ」 「はーなーせー!」  このやりとり、一体何回目だろうと有夏はため息をついた。 「放せっ! キショイわ!」  つかまれた腕を振り払うが、今度は体当たりするように足を抱えられ有夏はつんのめった。  狭いワンルームである。  ベッドの脚や座卓に身体をぶつけないように受け身をとりながら床に倒れ込んだものの、まだ相手は諦めていない様子。  ズルズルと身体を引きずりながら、有夏の両足にしがみついている。  ──本気で気色悪い! 「お風呂にぃぃ一緒にぃぃぃ」  窓から差し込む街灯の光に眼鏡がピカピカ反射して、何だか妖怪じみている。 「ありかぁぁぁ、おふろぉぉぉ……」  名付けるなら「お風呂オバケ」だな、いや「妖怪風呂じじぃ」か?  有夏が首をひねったのは、一瞬、ネーミングに悩んだからだ。  しかし「お風呂オバケ」にしろ「妖怪風呂じじぃ」にしろ、自分にネーミングセンスがないことはすぐに分かったのだろう。  その「オバケ」だか「じじぃ」だかを引きはがしにかかった。

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