79 / 142
答え10
「も、もうこれ以上はだめ…!」
お互いに擦り合い、あと少しでイきそうになったところで真琴が身を捩った。
このままイかせてしまいたかった俺は、不服な顔をして真琴を見下ろす。
「なんでだよ」
「きょ、今日全部やる気なんだろっ?だったら、う、後ろ、慣らさないとじゃん…っ」
「一回イッた後でもいいだろ」
「そんなゆっくりやる時間なんてないだろ…!それに…」
「それに?」
言い淀む真琴が続きを話すのを黙って待つ。
そうすればやがて、消え入りそうな声で真琴が呟いた。
「一回イッて、正気に戻られても困る、から…」
「……お前、今俺が正気じゃないと思ってんのか」
「だ、だって奏一、男が好きなわけじゃねぇんだろ…?」
真琴の目元が赤く染まっていた。
まるで怯えているような目だ。
なんというか、恋愛ごととなると真琴はとことん弱気な気がする。
あれほど持っていた自信は何処へ行ったのやら。
とことん奥手で、ちっとも笑顔を見せてくれない。
俺はそっと、真琴の前髪に指を絡めた。
そして額にキスを落とす。
「真琴、俺言ったよな。お前が好きだって」
「……うん」
「だったらそれを信じて欲しい。俺は本気だぞ。今だって真琴の裸見て、触られて、すげぇ興奮してる」
「っ、な、何言って…っ」
畳の上に放ってあったボトルを手に取る。
中に入ったローションを掌に垂らして少し温めてから、真琴の後ろに指を這わせた。
ともだちにシェアしよう!