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第22話
啄むような軽いキスが段々と激しくなり、壁に身体を押しつけられた。そして随分長い間、舌を絡ませては互いの唾液を吸い合い卑猥な音だけが耳を撫でた。蒼の舌は歯茎や歯列をなぞるように、口腔を蹂躙し貪り久しぶりの悦楽が身体に走る。
「…っ……あッ…んんッ…」
激しいキスの中で、綺麗な顔を細目に眺めながら首に巻き付いてた長いマフラーを外した。
「ありがとう、皐月。」
そう言いながらも、蒼はまた唇を重ね、なぞるように首筋にもキスを繰り返した。
「……ッ…ん……。」
ぞくぞくと走る甘い刺激に躰が震え、壁に背中を押しつけながらも膝の力が抜け、床に沈みそうになると蒼が膝で支えた。そしてたがい手の指を絡めて、壁に縫い止められた。
ちゅくちゅくと音が響いて、ひどく厭らしく感じ、甘いキスに酔いしれ、冷たかった身体が火照るように熱くなった。そして熱い身体が欲しくなり、さらに熱を求めてしまいそうだった。
駄目だ。
こんなの、溺れてしまう。
キスが甘くて深く、蕩けそうだ。
瞼を薄くあけると、整った顔が自分を求めて、ひどく艶かしく見える。ハーフの蒼はどこでも目立ち、周囲の視線をたやすく集めてしまう。黒瀬とは全く違うタイプだが、あまりにも自分と不釣り合いなのは分かってる。
沸き上がる快感に痺れながら、不安だけがドス黒く心に滲んでいった。
「ね、一緒にお風呂に入ろう?」
蒼の甘えるような上目遣いで見つめられると、断ることも出来きず浅く頷いた。蒼は耳朶を噛み、優しく愛撫しながら、コートを脱がし、慣れた手つきで全ての服を脱がした。
「……慣れてる。」
そう言うと、蒼はびっくりしたような顔して手を止めた。
「ダメかな?」
まるで怒られた子供のように聞くので、思わず笑ってしまい、軽く唇にキスをした。子供のような蒼がいじらしくて、もやもやと考えている自分はその可愛らしさに降参した。
「いいよ、大丈夫。一緒に入ろう。」
お互いにまた唇を合わせると、全て脱がされ、抱き合いながら浴室に入った。熱いシャワーが流れ落ち、互い抱き合いながら何度も唇を重ねた。
因みに後で教えてくれたが、その日、蒼は予報を予め調べ、自分の経営してる系列のホテルをおさえてあった。
はなから自分の部屋へ泊まるつもりだったようで、自分は蒼の迫真の演伎にすっかり騙されていたようだ。
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