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※第8話
目をやると、そこにはいきり立った棗の太くて長い陰茎が見えた。ぬらぬらと輝くそれはとても魅力的で、一瞬にしてこれに貫かれたいという衝動に捕らわれてしまった。
僕は上体を起こして棗のそこにそっと触れながら言う。
「なつめ、ぼく、これがほしい。」
その瞬間、棗の目が寧猛に光った。僕の身体は勢いよく押し倒され、再びベッドに沈む。少し息を荒くした棗が、入ったままだった指を僕の中でかき混ぜるようにぐちゅりと回しその勢いのまま引き抜いた。
その感覚にんぁっと声をあげてから、息つく間もなく、棗の陰茎の先端が僕の孔へとあてがわれる。緊張がはしりはぁっと息をすう。
「帛紗、いれるよ?」
その言葉の直後、僕が吸いきった息を吐き出すと同時に、棗の太くて長くて大きい峡立が一気に最奥まで突き入れられた。
「っはぁぁぁ、あぁぁんっぅ、んぅぅ」
あれだけほぐされても、やはり指とは比べものにならない棗の陰茎を簡単納めにることは出来なかった。
馴染むように最奥でぐちゅぐちゅとかき回されるだけで、内蔵が抉られるような感覚だ。
「あぁっ、あっ、なつめ、っくるしっ、」
腰に添えられた棗の手にすがりながら必死に訴える。棗は困ったように微笑みながら、ごめんね、もう少しすれば馴染むから、とそう告げてそっとキスをしてくれた。
棗がぐちゅぐちゅと揺する腰を止めることはない。んん、と息をつきながら、ただただ、苦しさに耐えていると、棗はそっと僕の腹を撫でた。外からそこをさすったことで、内壁が中にある棗のものに押し付けられる。
棗が僕の中にいる。中に入っている。それをより鮮明に感じ、思わず、中にいる棗を締め付けた。そしてより苦しさが増す。
「うぁぁぁぁ、あぁっ、」
苦しいのに止められなくて、緩めては締め付け、締め付けては緩めを繰り返す。そうしているうちに、僕の内壁はすっかり棗の形を覚えてしまった。
今ではもう、まるで最初からそこにあったかのように、ぴったりとみっちりと僕の中に埋まっている。苦しさもすっかり消えて、腹の奥底から伝わる充足感で全身が満たされる。
そうやって満たされて、僕は初めて思い至った。棗も、満たされているのだろうか、と。
「ふぅぁぁっ、なつめ、んっ、きもち?」
棗にも気持ちいいと思ってほしい。その一心で、拙い言葉を紡いだ。棗は言葉は返さずに僕の腰を強く掴んで、最奥だと思っていたそこから、さらに奥へ棗のそれを突き入れた。
「んぁぁっ、おくっ、くりゅ、なつ、め、」
ぐりゅぐりゅと止まない刺激に喘ぎをこぼして乱れていると、棗は上体を倒し、ベッドに沈む僕の肩を抱きしめるようにしてがっちりと掴んだ。
密着する身体から、直に棗の体温と鼓動を感じて、棗も熱くなっているんだと理解したのも束の間、肩をホールドされ逃げられない体勢のまま、棗はさらに激しくぐりゅぐりゅと奥のへ奥へと突き入れてきた。
「ふぅぁぁっ、んんっうっ、なつめぇ、」
ただ、押し出されるままに喘ぎをこぼして乱れていると、激しい腰の動きは止めないままに、棗は耳もとで告げた。
「これで分からない?俺の、帛紗でこんなになってるんだよ?ねぇ、帛紗、帛紗だって僕のでこんなに乱れてる。分かる、帛紗?」
棗が、棗は僕で、こうなっている。本当に?ただ、僕が棗で乱れてるということだけは分かる。だって棗は大好きなあの棗で、こんなことになっているのが信じられないくらいだ。棗はどうなんだろうか。棗も少しは僕のことを好きでいてくれているんだろうか。
「んんっ、なつめ、なつめすき!すきぃ!」
僕の言葉を聞いた棗はまた困ったように微笑んだ。棗も僕を好きなのか、続けてそう問おうとしたのに、棗の言葉に遮られ結局聞けなかった。
「帛紗。」
棗はただ、僕の名を呼んで動き続けた。
もう一度奥に突きいれると、今度はゆっくりと、先が抜けきらないギリギリのところまで引き抜いた。棗の思いををきちんと知りたかったのに、引き抜かれる感覚が新たな快感を生んで、それ以上は何も考えることができなかった。
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