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恋人_10

体と頭がふわふわしてる。 包み込んでくれる温度が心地良いし、撫でられる感覚も大好き。 ずっとこうしていたいのに、徐々に微睡みから覚醒する。 「……ん…………?」 「――起きたか、おはよう。身体平気か?」 「………………」 声は頭上から。 目の前の壁を伝って視線を上げればすぐ近くに篠原の顔。 身体は篠原の腕の中に抱き寄せられながらベッドに横たわっていた。 「……?おーい、大丈夫か?」 「わ、わぁっ!篠原!え、あれ、俺どうしたんだっけ……?」 「こら逃げんなよ。お前が離すなって言ったんだぞ」 広い胸板を押し返したら不満げな文句が飛んできて、身体は引き戻されてしまう。 「発情期終わったみたいだな。よかった」 発情期……あ、そっか。そうだった。 とサイドボードのカレンダー時計は俺の記憶していた日付からちょうど七日間の経過を知らせていた。 そんなに経ったんだ……。 「身体は平気か?」 「あ、う、うん……大丈夫……」 「ここも?」 篠原の指が触れたのは項の噛み痕。仄かにじんわりと熱を持ってる。 「う、ん……大丈夫。痛みとかはないから」 「ん、そっか」 「俺……本当に篠原の番になれたんだよな……?」 「…………ふっ、はは、悪いけど夢じゃないぞ。お前はもう俺の番だ。これからもよろしくな」 「〜〜っ…………うん……うん!嬉しい!これからもずっと篠原だけが好き!」 そう微笑みあったのも束の間、何故だか篠原は急に不満げな顔をする。 「なあ、何でまた篠原に戻ってんの?」 「え?」 「名前。あんなに呼んでくれたのに何でまた篠原なんだよ。そこは名前呼びのままでいいだろ」 「いや何か今更名前ってのが恥ずかしくて……慣れないし……」 「じゃあ尚更呼んで慣れろ。大体、臣海と千歌は名前呼びなのに何で俺だけ篠原なんだよ」 まるで子供のように拗ねた表情を見せるから、堪らず笑いが込み上げた。 「もしかしてずっと気にしてたの?」 「悪いかよ。でもタイミング逃した感じしてたし、これを機にって考えてた」 「へ、へえ……」 「……何笑ってんだ?」 「案外可愛いなって、ふふっ」 「…………もう一回抱き潰していい?」 「わー!待って!ごめん!さすがに腰死んじゃう!」 出逢った時から君が好き。一途な恋だから、好きが溢れて、幸せで、胸がずっと苦しい。 「だめ、宗一が呼んでくれるまで止めない」 「わ、分かった!呼ぶ!呼びます!もう……」 「ん、呼んで」 「――これからもずっと、美影だけが大好き」 【END】

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